千葉県 松戸市の弁護士 安武です。
破産管財事件で、破産者が自動車を使用している場合はままあります。
まず考えるのは、破産者が事故を起こし破産管財人が運行供用者責任(自賠法3条)
を問われないために、とりあえず鍵や車検証などを預かって運転させないようにすることです。
その後の破産管財人の対応については、その自動車が、
・破産者の所有である
・破産者は使用者ではあるが、所有権留保がついている
などの場合については、文献やサイト等で処理方法がたくさん紹介されています。
ただ、まれに、破産者が自動車を無償で借りて乗っているときがあります。
使用貸借の場合です。どうすればいいのかな、と戸惑ったことがありました。
明確に述べた文献はないのですが、結局、運行供用者責任は負わないと考えています。
なぜなら・・・
破産管財人には破産財団に属する財産について管理処分権があります。
管理処分権があるため、破産財団を構成する自動車の事故について、運行供用者責任を負う可能性があります。同責任の要素である運行の利益、運行の支配のうち、特に運行の支配があるといえるのだろうと考えております。
しかし、破産者が使用貸借上の借主としてその自動車を無償で借りて使用しているにすぎない場合は、その自動車はそもそも破産者の財産とはいえず財団に属しない以上、破産管財人には管理処分権もありません。管理処分権は運行の支配を基礎づける権限であるところ、その基礎づける権限がないから、運行供用者責任も負わない、ということかと思います。