弁護士安武のブログ

2016.07.29更新

松戸市の弁護士 安武(ヤスタケ)です。

 

某社会福祉協議会さんの顧問や、成年後見制度の専門相談などを担当しています。

また、成年後見事件を多数担当していることもあって、成年後見について考える機会が多くあります。

今回は報酬のはなしです。

 

成年後見人、保佐人、補助人(以下、「成年後見人等」といいます)が、成年後見人等として行った業務に対する報酬は、

本人(成年被後見人、被保佐人、被補助人)の財産から支払われるのが原則です。

 

しかし、本人が生活保護受給者であるなど、本人に報酬を支払うだけの財産がないことがあります。

そんな場合、報酬を払えないので成年後見制度を利用出来ないのでしょうか?

いやいや、そんなことでは、お金に余裕がある人しか成年後見制度を利用できず不公平です。

 

このような場合には、市町村などで定める

「成年後見等報酬助成金制度」(名称はさまざまです)

を利用できます。例えば、私の事務所のある松戸市では、平成28年7月現在、

・本人が在宅のとき・・・ひと月2万8千円

・本人が施設入所者のとき・・・ひと月1万8千円

が上限として支給されます。細かな条件については、こちらをご覧ください。

 

但し、注意しなければならないことがあります。

市町村によっては、首長申立ての場合しか、報酬助成金をもらえない場合があるからです。

例えば、平成26年4月の調査によれば、千葉県の千葉市、柏市や我孫子市などがそうです。

他にも、本人の親族が成年後見人等になる場合には支払われないケースもあります。

 

成年後見等の申し立てをする際、成年後見人等になる予定の人は、報酬がきちんと

支払われるかどうかを確認しておく必要があるかと思います。

投稿者: 弁護士安武慎作

2016.07.27更新

千葉県松戸市の弁護士 安武(ヤスタケ)です。

 

破産申立てをする人にとって最大の関心事は、免責されること、つまり、債務(借金)を返済する責任(義務)を免れることです。

そうすると、破産者は、免責が認められなくなるような行為等を厳に慎まなければなりません。

どうすれば免責が認められなくなるのか、いわゆる免責不許可事由については、破産法252条第1項が定めています。

今回は免責不許可事由のはなしです。

 

たとえば、破産管財事件において、破産者が自宅からなかなか退去してくれない場合があります。

引っ越しの準備が進まないとか忙しいとかしんどいとか、いろいろな理由をつけては退去してくれないのです。

その場合、管財人としては、自宅から退去しないと免責されませんよ、と説明して(半ば脅すようですが)早く

出て行ってもらうようにしなければなりません。

 

では、自宅から退去しないことは、免責不許可事由のどれにあたるのでしょうか。

自宅に居座ると、自宅を高く売るタイミングを逃すなどして自宅の価値を減少させる恐れがあります。

よって、価値減少行為(破産法252条第1項第1号)にあたると考えられます。

 

思い入れのある自宅を手放したくないのは、きっと誰もが理解できる心情でしょう。

しかし、退去を遅らせたために免責が認められなくなると破産申立てに踏み切った勇気、時間や費用が

台無しになってしまいます。

 

破産者は管財人に協力し、速やかに自宅を退去したいものです。

 

投稿者: 弁護士安武慎作

2016.07.25更新

千葉県 松戸市の弁護士 安武です。

 

破産管財事件で、破産者が自動車を使用している場合はままあります。

まず考えるのは、破産者が事故を起こし破産管財人が運行供用者責任(自賠法3条)

を問われないために、とりあえず鍵や車検証などを預かって運転させないようにすることです。

 

その後の破産管財人の対応については、その自動車が、

・破産者の所有である

・破産者は使用者ではあるが、所有権留保がついている

などの場合については、文献やサイト等で処理方法がたくさん紹介されています。

 

ただ、まれに、破産者が自動車を無償で借りて乗っているときがあります。

使用貸借の場合です。どうすればいいのかな、と戸惑ったことがありました。

 

明確に述べた文献はないのですが、結局、運行供用者責任は負わないと考えています。

なぜなら・・・

破産管財人には破産財団に属する財産について管理処分権があります。

管理処分権があるため、破産財団を構成する自動車の事故について、運行供用者責任を負う可能性があります。同責任の要素である運行の利益、運行の支配のうち、特に運行の支配があるといえるのだろうと考えております。

しかし、破産者が使用貸借上の借主としてその自動車を無償で借りて使用しているにすぎない場合は、その自動車はそもそも破産者の財産とはいえず財団に属しない以上、破産管財人には管理処分権もありません。管理処分権は運行の支配を基礎づける権限であるところ、その基礎づける権限がないから、運行供用者責任も負わない、ということかと思います。 

 

投稿者: 弁護士安武慎作

  • 弁護士安武のブログ
  • 不動産コラム
  • ケーススタディ