千葉県松戸市の弁護士 安武(ヤスタケ)です。
破産申立てをする人にとって最大の関心事は、免責されること、つまり、債務(借金)を返済する責任(義務)を免れることです。
そうすると、破産者は、免責が認められなくなるような行為等を厳に慎まなければなりません。
どうすれば免責が認められなくなるのか、いわゆる免責不許可事由については、破産法252条第1項が定めています。
今回は免責不許可事由のはなしです。
たとえば、破産管財事件において、破産者が自宅からなかなか退去してくれない場合があります。
引っ越しの準備が進まないとか忙しいとかしんどいとか、いろいろな理由をつけては退去してくれないのです。
その場合、管財人としては、自宅から退去しないと免責されませんよ、と説明して(半ば脅すようですが)早く
出て行ってもらうようにしなければなりません。
では、自宅から退去しないことは、免責不許可事由のどれにあたるのでしょうか。
自宅に居座ると、自宅を高く売るタイミングを逃すなどして自宅の価値を減少させる恐れがあります。
よって、価値減少行為(破産法252条第1項第1号)にあたると考えられます。
思い入れのある自宅を手放したくないのは、きっと誰もが理解できる心情でしょう。
しかし、退去を遅らせたために免責が認められなくなると破産申立てに踏み切った勇気、時間や費用が
台無しになってしまいます。
破産者は管財人に協力し、速やかに自宅を退去したいものです。